行政デジタル化への課題

 今週開催されたブロックチェーンサミット※、デジタル証券(STO)に関するパネルディスカッションに登壇されたマネックスグループ代表 松本 大氏は、暗号資産分野の日米の差に言及されていた中で、米国は社会やテクノロジーの進歩にあわせて規制がついてくるのでイノベーションが発展するが、日本においては枠組みや規制の議論が先行してイノベーションを阻害しているという趣旨の発言をされていました。

 さて、近年頻繁に目にするようになった「行政デジタル化」についてはどうでしょうか。自身が使う行政オンライン申請は、従来手作業であったものの一部がネットでできるようになっただけの物が多く、イノベーションは感じられません。従来の枠組みや規制、行政側の仕事のやり方はそのまま、プロセス簡素化・合理化に必要な法改正も追いついかないのが大きな原因であるようです。既存の手法で保護していたものが、IT化しても担保できるという知識が立法時に欠けているように思います。

 社会や国民が真にテクノロジーの恩恵を受けるという目線で行政デジタル化が進行するために、システム開発だけでなく立法や行政手続の策定を助けるIT専門家が今以上に登用される必要があると考えます。

※日本経済新聞社と金融庁主催の「Blockchain Global Governance Conference 、FIN/SUM Blockchain & Business 」(2020.8.24・25開催)